AIのつながりを背景に、鍵と盾でアカウント保護を表したイラスト

「AIを会社で使って、情報が外に漏れることはないんですか?」

法人向けのAI導入をお手伝いしていると、こうした質問をいただきます。
大切な情報を扱う以上、気になるのは当然です。

どのサービスを選び、どんな情報を入力し、誰が使えるようにするのか。
確認すべきことはいろいろあります。

そのうえで、私はもう一つ、一緒に考えたいことがあります。
普段使っているパスワードは、どのように管理していますか?

サービスの安全性と、使う人の習慣

AIに限らず、インターネットのサービスを安全に使うには、サービス側の対策と、利用者側の対策の両方が必要です。

たとえば、複数のサービスで同じパスワードを使っている場合。
一つのサービスから認証情報が漏れると、その情報を使って別のサービスにもログインを試みられるおそれがあります。

トレンドマイクロが2026年3月24日に発表した「パスワード・パスキーの利用実態調査2026」では、調査対象となったWebサービス利用者1,034人のうち、84.3%が複数のサービスでパスワードを使い回していました。

調査は2026年2月20~22日、日本国内に住む18~69歳の男女を対象にWeb調査で実施されています。
日本人全体の割合と断定はできませんが、使い回さずに管理することが、今も身近な課題であることがうかがえます。

出典:トレンドマイクロ「パスワード・パスキーの利用実態調査2026」

誰かを責めたいわけではありません。
サービスの安全性を確認するのと同じように、自分たちの使い方にも目を向けてみませんか、という話です。

同じパスワードの使い回しと、サービスごとに異なるパスワードを管理する方法の比較

全部覚えるのは難しい。だから仕組みに頼る

パスワードを使い回さないほうがいい。
それは分かっていても、サービスごとに違うものを考え、全部覚えるのは大変です。

私も、記憶だけで管理するのは現実的ではないと思っています。
そこで、私が約15年使っているのが「1Password」というパスワード管理アプリです。

私が便利だと感じるのは、パスワードを探す手間が減ったこと。
そして、サービスごとに複雑なパスワードを設定しやすくなったことです。

覚えやすい同じパスワードに頼らず、管理する作業をアプリに任せられる。
この違いは、毎日使っていると大きいと感じます。

基本の考え方は、管理アプリを開くための大切なパスワードを覚え、それぞれのサービスのパスワードはアプリで管理するというものです。

ただし、「一つ覚えれば、ほかは何もしなくてよい」という意味ではありません。
1Passwordでは、新しい端末でのサインインなどに使う「Secret Key」も重要です。
これを含むEmergency Kitを、安全な場所に保管する必要があります。
管理アプリそのもののパスワードも使い回さず、大切に扱いましょう。

参考:1Password公式:Secret Keyについて

私は1Passwordを使っていますが、伝えたいのは、記憶や気合いだけに頼らず、使い回さない管理を続けられる仕組みを持つことです。

パスワードと手元の認証アプリを組み合わせる本人確認と、復旧方法の確認

対応しているサービスでは、多要素認証を

もう一つ、基本の対策として取り入れてほしいのが、多要素認証です。

たとえば、パスワードに加えて、手元の認証アプリに表示されるコードなどを使って本人確認を行う仕組みです。

パスワードだけが第三者に知られても、それだけではログインできないようにすることで、不正ログインのリスクを下げます。
IPAも、パスワードの使い回しを避けることと、多要素認証の設定を勧めています。

メールやネット通販など、普段使っているサービスのセキュリティ設定を、一度確認してみてください。
対応している場合は、有効にしておきましょう。

なお、確認の画面が二回出るだけで、必ず多要素認証になるわけではありません。
ここでは難しい分類よりも、各サービスが案内している認証方法を確認して設定することから始めれば十分です。

設定後は、端末の紛失や機種変更に備え、復旧方法やバックアップコードの保管方法も確認しておくと安心です。
多要素認証を設定しても、偽サイトへの入力など、すべての被害を防げるわけではありません。

参考:IPA:不正ログイン対策特集ページ

AIへの不安を、管理習慣を見直すきっかけに

AIの安全性を考えることは、大切です。
同時に、日頃の管理習慣を整えることも大切だと思います。

まずは、
同じパスワードを複数のサービスで使わないこと。
管理アプリなどを使って、無理なく続けられる仕組みにすること。
そして、対応しているサービスでは多要素認証を有効にすること。

もちろん、これだけで会社のAI導入に必要な対策がすべて整うわけではありません。
入力してよい情報の基準や、アクセス権限、サービスの契約条件などは、別に確認する必要があります。

サービスの安全性と、自分たちの使い方。その両方を見直していくことが、個人でも会社でも、安心して活用するための土台になります。

AIの導入を考えたことをきっかけに、まずは身近なアカウントの設定から確認してみませんか。

次の一歩は、この3つから。

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この記事を書いた人

白石貴義
白石貴義合同会社GSK 代表
合同会社GSK代表。中小企業のためのAI業務設計パートナーとして、「ゼロを、1にする。」をコンセプトに、社内でAIが使われていない状態から、現場で使われる状態に変える支援をしています。ビジョンは「AIで仕事の抜け道を発見」。業務のヒアリングから設計、現場への定着まで、一緒に手を動かしながら伴走します。

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