
最近、AIやサイバー攻撃に関する情報を目にして、不安を感じることはありませんか。
私も先日、SNSで英国の大規模停電についての投稿を見かけました。
見出しには「テロか?」という言葉があり、本文には、原因はまだ分からないと書かれていました。
AIやサイバー攻撃の話題が気になっていたこともあり、私自身、何か関係があるのだろうかと気になりました。
ただ、その印象のまま受け取る前に、元の情報を確かめてみようと思ったのです。
今回お伝えしたいのは、不安になるニュースを見たときこそ、事実と推測を分けて読むこと。
そして、誰が、どのような目的で発信しているのかを考えることです。
「テロか?」と「テロが起きた」は違う
今回見かけた投稿には、「テロか?」という言葉が使われていました。
ここで立ち止まりたいのは、これは原因が確認されたという意味ではない、ということです。
少なくとも、私が確認した投稿の本文は、停電の原因を不明としていました。
また、投稿そのものに「AIによる攻撃」と書かれていたわけでもありません。
それでも、強い言葉が見出しに入っていると、その印象が残ります。
ほかの場所で見たサイバー攻撃の話と、頭の中で結び付けてしまうこともあると思います。
「起きたこと」と「起きたかもしれないこと」。
この二つを分けるだけでも、情報の受け取り方は変わります。
停電の報道と、備蓄の呼びかけを分けて読む
調べる中で確認したAFPの2026年10月26日付の報道では、前日に欧州北部を襲った暴風雨によって、広い範囲で停電などの被害が出たと伝えられています。
この報道は、AIによる攻撃が停電の原因だったとするものではありません。
出典:AFPBB News「欧州北部の暴風雨で1人死亡、広い範囲で停電 航空便にも影響」
ただし、この報道とSNS投稿が、同じ範囲・同じ時点の停電を指しているかまでは確認できていません。
ですから、この報道だけを理由に、SNS投稿の内容すべてが誤りだと結論付けることもできません。
一方、英国政府が家庭に備蓄を呼びかけていることは、政府の発表で確認できます。
10月22日の発表は、悪天候などで電気や水、通信といった日常のサービスが一時的に止まる場合への備えを説明し、3日間の混乱に備える考え方を示しています。
出典:英国政府「Households encouraged to take small, simple steps to stay prepared in an emergency」
英国の自治体による案内では、悪天候や洪水などに加え、サイバーインシデントも想定されています。
備えの対象を自然災害だけに限定するのも正確ではありません。
出典:Sefton Council「Be Ready: Government urges households to prepare for emergencies」
ここで分けて考えたいのは、将来の緊急事態に備える呼びかけと、実際に起きた停電の原因は別の話だということです。
備蓄の呼びかけがあることは、「AI攻撃による停電が起きた」という証拠にはなりません。
関連しそうな情報が並んでいても、その間のつながりまで確認されたとは限らないのです。

情報を見るときは「発信者の意図」も考える
インターネットで情報を発信する背景には、さまざまな目的があります。
役立つことを伝えたい。
自分の経験を共有したい。
商品やサービスを知ってほしい。
多くの人に見てもらいたい。
ときには、相手をだまして利益を得ようとする発信もあります。
もちろん、目的があること自体が悪いわけではありません。
私も会社として発信していますし、読者の方に知っていただきたいことがあって、この記事を書いています。
大切なのは、内容を読むときに「なぜ、この情報を、この見せ方で伝えているのだろう」と考えることです。
強い見出しには、注意を引く働きがあります。
ただし、それだけで発信者の悪意や目的を決め付けることはできません。
相手の心の中を推測して断定するのではなく、書かれている内容と、その根拠を確かめる。
私は、その姿勢が大事だと思っています。
違和感があったときに確認したい四つのこと
毎回すべての情報を詳しく調べるのは大変です。
それでも、不安を感じたり、誰かに伝えたくなったりした情報は、少し立ち止まって確認する価値があります。
1. 見出しだけでなく、本文を読む
見出しでは強く見える内容でも、本文には「可能性がある」「調査中」「確認されていない」と書かれていることがあります。
どこまでが確認済みなのかを読み取ります。
2. 発信日時と、出来事が起きた日時を見る
今日流れてきた投稿が、今日起きた出来事とは限りません。
古い情報の再拡散や、その後の続報がないかも確認します。
3. 元の発表や報道に当たる
引用されている政府の発表、企業のお知らせ、取材した報道機関の記事までたどります。
リンク先が本当に投稿の説明を裏付けているかを見ることも大切です。
元の発表が常に完全とは限りませんが、少なくとも、誰が何を確認し、何をまだ調べているのかを確かめる手掛かりになります。
4. 別々の話を、自分の中で結び付けていないか考える
「サイバー攻撃への注意喚起」「備蓄の推奨」「大規模停電」。
それぞれが事実であっても、一つの原因でつながっているとは限りません。
情報があることと、因果関係の裏付けがあることは、分けて考えたいところです。

AIを使って調べるときも、出典まで確認する
AIに情報を整理してもらったり、調べる観点を挙げてもらったりするのは便利です。
ただ、AIが分かりやすく説明したことと、その説明が正しいことは別です。
回答に出典が付いていたら、そのリンクを開き、実際に説明を裏付ける内容があるかを確認します。
特に、顧客への案内や会社としての発信に使う場合は、未確認の話を確定事項として扱わない。
その一手間を、仕事の流れにも入れておきたいと思います。
AIがもっともらしい誤った情報を答えてしまう仕組みと、仕事での確認の仕方は、「AIは嘘をつく?ハルシネーションを知り、仕事に活かす方法」で解説しています。
不安になったときこそ、一度立ち止まる
今回、私が違和感をきっかけに調べて感じたのは、印象だけで情報をつなげてしまわないことの大切さです。
AIやサイバー攻撃への備えを考えることも、災害に備えることも大切です。
その判断の土台にする情報は、落ち着いて確かめたいと思います。
「誰が、何を根拠に、何のために伝えているのか」
そして、「確認された事実はどこまでなのか」
AIが社会に浸透していく中でも、この問いを持つ習慣を、私自身も大切にしていきます。
※本記事は2026年10月28日時点で確認できた情報に基づいています。個別のSNS投稿における停電の原因や、投稿者の意図を断定するものではありません。
次の一歩は、この3つから。
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この記事を書いた人

- 合同会社GSK 代表
- 合同会社GSK代表。中小企業のためのAI業務設計パートナーとして、「ゼロを、1にする。」をコンセプトに、社内でAIが使われていない状態から、現場で使われる状態に変える支援をしています。ビジョンは「AIで仕事の抜け道を発見」。業務のヒアリングから設計、現場への定着まで、一緒に手を動かしながら伴走します。
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