GSK独自のAI活用5段階。まずレベル2、必要ならレベル3へ進む

「会社でもAIを使いたい。
でも、何から始めればいいのか分からない」

社長から「AIを導入してほしい」と任され、ツール選びで手が止まっている担当者もいるのではないでしょうか。

私は、会社でのAI活用を5段階に分けて整理しています。
地方の中小企業にまずおすすめするのは、レベル2の『定型業務の効率化』です。
余裕が出たら、レベル3の『業務をつなぐ仕組みづくり』へ進む。
これを当面の目標にします。

最初から自社専用ツールを開発したり、会社全体を一度にAI化したりする必要はありません。
繰り返している仕事を一つ選び、日々使える形にすることから始めましょう。

この記事の結論

よくある疑問答え
中小企業のAI導入は何から?頻度が高く、完成形が決まり、人が確認しやすい定型業務を一つ選びます。
5段階すべてを目指す必要は?ありません。
5段階はGSK独自の地図です。
自社の課題に必要な段階を選びます。
GSKならこう進めるまずレベル2を定着させ、余裕が出たらレベル3を検討します。
3か月・6か月は支援の目安で、成果保証ではありません。

GSKが考えるAI活用の5段階

以下は、企業が導入の順序を考えるためのGSK独自の分類です。
本稿の業務例は、説明のための仮想例であり、導入実績ではありません。
公的な認定基準ではなく、利用端末やツール名だけで段階が決まるものでもありません。

段階活用の内容具体的なイメージ
レベル1汎用AIの利用ChatGPTやGeminiに質問し、調べ物や相談に使う
レベル2定型業務の効率化業務用の指示を用意し、報告書やメールの下書きを繰り返し作る
レベル3業務のワークフロー化録音・文章作成・保存など、別々のアプリや作業をつなぐ
レベル4自社向け業務ツールの作成AIエージェントを活用して、自社の仕事に合うツールを作る
レベル5全社的なAI化と大規模開発会社全体の業務やシステムをAI前提で再設計する

レベル4・5まで進むことが、すべての会社の正解ではありません。
自社の課題に対して、必要な段階を選ぶための地図として使ってください。

レベル1:質問する使い方から、仕事に使う入口へ

スマートフォンでAIに分からないことを聞く。
文章の意味を説明してもらう。
こうした使い方がレベル1のイメージです。

AIに慣れる入口として大切ですが、そのままでは「便利な相談相手」で止まることもあります。
会社の業務改善につなげるには、「毎週作っている報告書にも使えないか」と、自分の仕事に引き寄せて考える一歩が必要です。

なお、スマートフォンだからレベル1、パソコンだからレベル2という区分ではありません。
何に、どのように使っているかが基準です。

レベル1.5:音声入力で、指示を伝える負担を減らす

レベル2へ進む橋渡しとして、GSKがおすすめするのが音声入力です。
本稿では、これを補助的に「レベル1.5」と呼びます。

AIから役立つ下書きを得るには、目的や背景、相手、守ってほしい条件を伝える必要があります。
しかし、毎回それを文字で打つのが負担になる人もいます。

例えば「報告書を作って」だけでなく、「今日の作業内容、遅れた理由、明日の予定を順に話すので、上司への報告書にして。
分からない部分は補わず、確認事項に分けて」と話して伝えます。
音声入力は、こうした説明を始めやすくする方法です。

TypelessやAqua Voiceなども候補になります。
自分の端末との相性や、会社で利用できる条件を確認して選びましょう。
音声入力も業務情報の扱いの確認対象です。
料金・対応環境・データの扱いは利用前に公式情報で確認します。
入力後には、固有名詞や数字の誤変換も確認します。

音声入力の習得は必須条件ではありません。
キーボードで十分に伝えられる人は、そのままレベル2に進んで構いません。

レベル2:まずは定型業務を一つ、繰り返し楽にする

レベル2は、繰り返す業務のために指示や出力形式を用意し、毎回ゼロから説明する手間を減らす段階です。

業務ごとの指示を保存し、繰り返し使う方法がその例です。
ただし、特定の機能を使うこと自体が目的ではありません。
必要な情報を渡すと、いつもの形式で下書きができる状態を目指します。

例えば、次のような仕事が候補になります。

  • 箇条書きの作業メモから、社内の形式に合わせた日報を作る。
  • 問い合わせ内容から、返信メールの下書きを作る。
  • 会議の文字起こしから、決定事項と担当者、期限を整理する。

最初は、頻度が高く、完成形が決まっていて、人が確認しやすい仕事を一つ選びましょう。

日報なら、「必須項目」「文章の長さ」「不明点は推測しない」「最後に人が確認する」といった条件をそろえます。
担当者が変わっても使いやすいよう、入力する情報と確認手順を短く残すことも大切です。

効果を見るときは、下書きが出るまでの速さだけで判断しません。
確認や修正も含めた作業時間、手直しの量、使い続けられているかを確かめます。
準備にかかる時間や利用料金も含めて、続ける価値を判断してください。

関連:考えがまとまらない時こそ AIとの会話が仕事の第一歩になる

レベル3:点で使っているアプリを線につなぐ

レベル2の使い方が定着し、データを移す作業が負担になったら、レベル3を検討します。

例えば、会議を録音し、文字起こしをAIで議事録にまとめ、人が確認したものを共有先へ保存する流れです。
それぞれのアプリを個別に使うだけでなく、受け渡しの手順を整え、必要に応じて連携します。

すべてを無人で動かす必要はありません。
「AIが下書きを作る→担当者が確認する→共有する」という確認の区切りを残しても、立派なワークフローです。

連携前には、どのデータを使うのか、どこへ保存するのか、誰が閲覧できるのか、失敗したら誰が対応するのかを決めます。
アプリ同士が連携できるかどうかは、機能や契約条件によって確認が必要です。

まず手順を整え、効果が見込める部分からつなぐ。
これが、余計な複雑さを増やさない進め方です。

なぜ、いきなり高度な自動化を目指さないのか

AIに任せる範囲が広がるほど、扱う情報や操作権限の設計が大切になります。

例えば、必要のないフォルダまで参照させたり、確認前の下書きを自動送信したりすると、意図しない共有や処理につながるおそれがあります。
フォルダ名を整理するだけでなく、AIが見てよい資料と操作してよい範囲を決めておく必要があります。

ただし、レベル2なら無条件に安全という意味ではありません。
どの段階でも、入力してよい情報、利用するサービスのデータの扱い、回答の確認方法を決めることが必要です。
個人情報保護委員会も、生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表しています。
[1]

GSKがレベル2からの導入をすすめるのは、対象を絞って試し、確認と改善を繰り返しやすくするためです。

回答の確認についてはハルシネーションを知り、仕事に活かす方法、情報管理については学習オフとクラウドの違いも参考にしてください。

導入の目安は、まず3か月でレベル2

GSKでは、最初の3か月でレベル2の定着を目指し、準備が整えば、その後の3か月程度でレベル3へ進む流れを想定しています。
これは目安であり、すべての会社に同じ速度を求めるものではありません。

時期の目安取り組み次へ進む判断
導入初期対象業務と利用ルールを決め、必要なら音声入力を試す入力と確認の方法が分かる
最初の3か月一つの定型業務で指示と出力形式を整える確認込みで効果があり、継続して使える
その後の3か月程度効果のある作業を必要に応じて連携する保存先・権限・失敗時の対応を管理できる

レベル2で十分な効果が出ていれば、無理に次へ進む必要はありません。
段階を上げることよりも、現場の負担が減っていることを重視します。

社長と導入担当者が、最初に決めること

社長には、「何の負担を減らすのか」「どこまで試すのか」「誰が担当するのか」を決め、試す時間を確保する役割があります。
担当者に任せるだけでなく、利用ルールや予算の判断も後押ししてください。

担当者は、繰り返している仕事を洗い出し、まず一つ選びます。
現在の作業時間と完成例を用意し、AIを使った後の確認・修正まで含めて比べてみましょう。

最初の打ち合わせで、「対象業務を一つ」「確認する人を一人」「振り返る日を一日」決めれば、試す範囲が具体的になります。

中小企業のAI導入についてよくある質問

Q. 社員全員がAIエージェントを覚える必要はありますか?

本稿の進め方では、必要ありません。
まずは対象業務に関わる人が、決めた方法でAIを使い、内容を確認できる状態を目指します。

Q. レベル3まで進まないと、AI導入は失敗ですか?

いいえ。
レベル2で作業の負担が減り、無理なく使い続けられていれば、それが会社に合った到達点です。
連携のための費用や保守の手間に見合うときに、レベル3を検討します。

Q. 音声入力が苦手でも始められますか?

始められます。
音声入力は指示を伝えやすくする選択肢です。
文字入力や入力用のひな形など、自分に合う方法を使ってください。

石川・北陸の中小企業へ:まず一つの業務から

AI導入の第一歩は、自社の繰り返す仕事を一つ選び、使い続けられる形にすることです。
まずレベル2を定着させ、必要があればレベル3へ進む。
この順番で、自社に合う活用範囲を探していきましょう。

合同会社GSKでは、石川県を中心とした北陸の中小企業に向けて、業務の棚卸しからAIの使い方の設計、定着までを支援しています。
「何から始めればよいか分からない」という社長・担当者の方は、普段繰り返している仕事を一つ挙げて、AI業務設計サービス「AIFLOW」へご相談ください。

参考資料

[1] 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」 https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/

次の一歩は、この3つから。

社長に「AIもやっといて」と言われた方へ。読むだけ・聞くだけでも大丈夫です。売り込みはしません。

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この記事を書いた人

白石貴義
白石貴義合同会社GSK 代表
合同会社GSK代表。中小企業のためのAI業務設計パートナーとして、「ゼロを、1にする。」をコンセプトに、社内でAIが使われていない状態から、現場で使われる状態に変える支援をしています。ビジョンは「AIで仕事の抜け道を発見」。業務のヒアリングから設計、現場への定着まで、一緒に手を動かしながら伴走します。

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