先生と子どもがAIの回答を教科書と照らし合わせるイラスト

先日、私が参加しているAIのコミュニティで、ある参加者から、小学校の先生と話したときのエピソードを聞きました。

子どもから、「先生、昨日言ってたこと、ChatGPTで調べたら違ってたよ」という趣旨のことを言われることがあるそうです。

これ、先生だったら、ちょっとドキッとしませんか。

私がその先生や子どもから直接聞いた話ではなく、言葉も一字一句を確かめた記録ではありません。
先生の説明とAIの回答の、どちらが正しかったのかも分かりません。
この話だけで、学校全体の状況を語ることはできないと思います。

それでも、「AIがそう言っていた」と子どもに示されたとき、大人はどう向き合うのか。
私には、考えておきたい問いとして残りました。

AIを学ぶ前に、仕事を一つ楽にしてみる

ChatGPTは、もっともらしい文章で間違った答えを返すこともあります。
だからこそ、「AIが言っていたから正解」で終わらせず、「じゃあ、一緒に確かめてみよう」と言えることが大切なのだと思います。

ただ、先生自身が一度も触れたことがなければ、何が便利で、どこに注意が必要なのか、つかみにくいですよね。

授業の準備や採点、保護者への連絡。毎日の仕事で手いっぱいなら、「AIの勉強まで増やすの?」と感じても不思議ではありません。

私は、まず自分の仕事を一つ楽にするところからでいいと思っています。
完成品を任せるのではなく、最初の案を出してもらう。それを先生が直す。
その使い方なら、便利さと、任せきれない部分の両方を体験できます。

始める前には、学校や教育委員会の方針と、利用を認められた環境を確認してください。
個人情報を入れなければ何でも安全、というわけではありません。
児童の情報や未公開の学校資料は使わず、まずは架空の条件や一般的な学習内容で試してみましょう。

お便りと授業の例え話について、AIが案を出し先生が確認する流れ

入口は、お便りと授業の例え話の二つ

一つ目は、保護者向けのお便りの下書きです。
何から書こうかと手が止まるときに、文章の順番や、伝え方の案を出してもらいます。

架空の校内行事について、保護者向けのお便りの下書きを作ってください。
目的は読書に親しむこと。
日時・場所・持ち物は[要確認]と表示し、案内、お願い、確認事項の順に、短く丁寧な文章にしてください。

これは実際の校内情報を入力しなくても試せます。
氏名や連絡先、児童の状況は入れません。
出てきた文章はそのまま配らず、日程や持ち物、学校の決まりを先生が確認します。
AIが勝手に足した条件がないかも見てください。

二つ目は、授業で使う例え話づくりです。
学年と学習テーマを伝え、説明の候補をいくつか出してもらいます。

小学校3年生に「分数」を説明するための、身近な例え話を3案考えてください。
それぞれ、何を表している例えかと、誤解しやすい点も添えてください。

候補が複数あると、「この例なら伝わりそう」「この言い方はかえって混乱しそう」と比べられます。
ただし、AI自身が書いた注意点も正しいとは限りません。
教科書の説明と合っているか、学年に適しているか、例えが誤解を生まないかを先生が確かめて、使える部分を選びます。

白紙から考える負担を少し減らしながら、最後は自分で判断する。
まずはそのくらいの距離感でいいのではないでしょうか。

違いを整理し、根拠を調べ、一緒に考え直す三つの手順

「どこが違うのか」を、一緒に確かめる

冒頭の場面に戻ると、私なら、先生とAIのどちらが正しいかをすぐに決める前に、こんな問いを置きたいと思います。

「どの部分が違っていたのかな」「AIには、どんな聞き方をしたのかな」「その答えの根拠は、どこで確かめられるだろう」

子どもが示した内容と、授業で説明した内容を整理して、教科書や信頼できる資料と照らし合わせる。
AIが資料名やURLを示していても、実在するか、書かれている内容が本当に根拠になるかまで確かめます。

確かめた結果、先生の説明を直すことも、AIの回答の間違いが見つかることもあるでしょう。
すぐに結論が出なければ、「調べてから、もう一度話そう」でもいいはずです。根拠を確かめながら考え直す、その姿勢を共有することに意味があると思います。

文部科学省のガイドラインでも、教職員による利用は、生成された内容の適切性を判断できる範囲で行うことが前提とされています。
先生自身が一度使い、答えを確かめる経験は、こうした向き合い方を考える入口にもなります。

なお、ここで提案しているのは先生自身の利用です。
小学生が自分のアカウントで自由に使うことを勧める話ではありません。
児童の利用を検討する場合は、別途、学校の方針やサービスの利用条件、発達段階などの確認が必要です。

まず一度、先生同士で触ってみませんか

最初から専門家になる必要はないと思います。
例えば先生同士で短い時間を取り、お便りか例え話のどちらか一つを、架空の条件で試してみる。
出てきた答えを見ながら、「使えそうなところ」と「直したいところ」を話してみる。

便利だった点だけでなく、勝手に条件を足した箇所や、説明が分かりにくかった箇所も持ち寄れたら、実際の仕事での使いどころを考えやすくなるはずです。

「先生、ChatGPTは違うって言ってたよ」

そう言われたときに、一緒に根拠を確かめられるように。
まずは先生同士の小さな勉強会で、AIの便利さと間違い方を、一度体験してみませんか。


参考:文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」(2024年12月26日公表)、同省「生成AIの利用にあたって」。2026年10月20日確認。

次の一歩は、この3つから。

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この記事を書いた人

白石貴義
白石貴義合同会社GSK 代表
合同会社GSK代表。中小企業のためのAI業務設計パートナーとして、「ゼロを、1にする。」をコンセプトに、社内でAIが使われていない状態から、現場で使われる状態に変える支援をしています。ビジョンは「AIで仕事の抜け道を発見」。業務のヒアリングから設計、現場への定着まで、一緒に手を動かしながら伴走します。

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