AIが資料を整理して議題案を作り、人が内容を確認する仕事の進め方

「AIエージェント」という言葉を、最近よく耳にするようになったと感じます。
でも、「それで、うちの会社では何をしてくれるの?」と聞かれると、急に話がぼんやりしませんか。

私も、この言葉だけでは仕事の場面を想像しにくいと思っています。
そこで、こんなふうに考えてみました。

会社に「AIスーパー秘書」が加わったら、何を任せたいだろう?

呼び方が変わるだけで、少し身近になりませんか。
今日はこの例えで、AIエージェントとの仕事の進め方を考えてみます。
この記事では、生成AIが資料の整理や議題案の作成を進める場面を中心に扱います。

この記事の結論

よくある疑問答え
AIエージェントとは何ですか?目的を受け取り、必要な作業を考え、許可されたツールを使って仕事を進める仕組みです。
この記事では「AIスーパー秘書」に例えています。
全部お任せで動いてくれますか?いいえ。
目的・使ってよい資料・完了の条件を伝える必要があり、連携していない情報は読めません。
GSKならこう進める打ち合わせ前の情報整理のように、やることと確認箇所がはっきりした仕事です。
送信や金額の約束は人が確認してから進めます。

優秀な秘書でも、最初は会社のことを知らない

もし会社で秘書を雇ったら、最初に「うちはこんな仕事をしていて、今はこれを進めたい。
あなたにはここをお願いしたい」と伝えますよね。

どれほど優秀な人でも、初日から社長の頭の中までは読めません。
「例の件、よろしく」で通じるようになるには、まず「例の件」を共有するところからです。

AIも、ここは似ていると思います。
何のために、どこまで任せるのか。
どの資料を使ってよいのか。
何ができたら完了なのか。

こうした前提があって、仕事を進めやすくなります。

もちろん、人間の秘書も自分で考え、提案します。

AIについても、一つひとつの操作をすべて人が指示するだけでは、その可能性が伝わりません。
共有した目的と権限の範囲で、段取りを考えて動いてもらう。
その関係をイメージしています。

あなたの指示から、一歩先へ

私が「AIスーパー秘書」と呼びたいのは、目的を受け取り、必要な作業を考え、使えるツールを使って実務を進める存在です。

AIエージェントにはさまざまな捉え方がありますが、AI自身が進め方やツールの使い方を判断する仕組みが、その特徴の一つです。
[1]
ここでは、難しい技術用語よりも仕事の関係性が伝わるように、「秘書」に例えています。

たとえば、文章の書き方を相談するところから、許可された資料を調べて整理し、目的に合うたたき台を作るところまで。
実際にできることは、使う仕組みや設定によって変わります。

「あなたの指示から、一歩先へ」。

その「一歩」は、目的に向かって次に必要な作業を考える一歩です。
「スーパー」という名前でも、会社の事情を何も伝えずに全部お任せ、とはいきません。

なお、これは理解するための例えで、正式な技術名称ではありません。
「AI秘書」と呼ばれるものすべてが、同じ機能を持つわけでもありません。

チャットへの相談と、AIエージェントへの依頼はどう違う?

Anthropicは、あらかじめ決めた手順で進むワークフローと、AIが進め方やツールの使用を動的に判断するエージェントを区別しています。
[1]
「AIスーパー秘書」は、この後者を仕事の場面で捉えるための、私なりの例えです。

使い方仕事の進め方のイメージ
文章を相談する渡した文章について、書き方や言い回しの案を受け取る
決まった手順をつなぐ決めた順序で、文字起こし・要約・保存などを進める
AIエージェントに依頼する目的に応じて、AIが次の作業や使うツールを判断しながら進める

実際のサービスでは、これらが組み合わさる場合もあります。
呼び名だけで判断せず、参照できる情報と、実行できる操作を確かめます。

目的を伝え、過去のやり取りを整理し、確認事項と議題案を作成して人が確認する4段階。データ連携とアクセス権がある場合の例

「来週の打ち合わせを準備して」と頼んだら

ここからは、必要なデータ連携とアクセス権が用意されている場合の、仮の例です。

「来週の取引先との打ち合わせを準備して。
新しい提案について相談したい。
直近のメールと前回の議事録を参考に、議題案を作ってほしい」

こう伝えると、AIが過去のやり取りから宿題や未回答の質問を整理し、今回確認したい事項を洗い出し、打ち合わせの議題案を作る。
そんな進め方が考えられます。

資料同士に食い違いがあれば、「前回の議事録とメールで条件が違います。
どちらを前提にしますか?」と、人に確認するところまで設計できると助かります。

受け取る側も、メールの山を一から読み直す代わりに、整理された情報と元の資料を照らし合わせて、提案の中身を考えやすくなるでしょう。

ただし、連携していないメールや、閲覧を許可していない社内資料まで、AIが自動で読めるわけではありません。
必要な情報を渡す方法と、使ってよい範囲を先に整える必要があります。

最初の依頼文を、具体的にしてみる

以下は、依頼の仕方を説明するために作った仮想例です。
実際の案件や、ツールの実行結果ではありません。
最初は会社の利用ルールに合う、公開して差し支えないサンプル資料で試せます。

渡す情報の例

資料記載内容(仮想例)
前回の議事録次回は試作品の評価を確認する。
見積書は未提出。
直近のメール先方は納期を確認したい。
必要数量は未確定。

コピーして調整できる依頼文

取引先との次回打ち合わせに向け、議題案を作ってください。
使う資料は、私が渡す「前回の議事録」と「直近のメール」だけです。
資料から確認できることと、不明なことを分けてください。
各項目に、根拠となる資料名と該当箇所を付けてください。
資料が食い違う場合は、どちらかを勝手に採用せず、確認事項に残してください。
出力は「議題案」「未確認事項」「参照元」の順にしてください。
メール送信、日程変更、既存ファイルの上書きは行わず、案の作成で止めてください。

この依頼文は、任せ方を試すためのものです。
資料を貼り付けて議題案を作るだけで、AIエージェントの仕組みになるわけではありません。
実際に資料を探したり、別のアプリを操作したりするには、対応する機能・連携・権限が必要です。
文章で禁止するだけでなく、サービス側の操作権限も合わせて確認します。

受け取りたい出力の例

議題案確認すること参照元
試作品の評価先方の評価と追加の要望を聞く前回の議事録:次回の確認事項
見積もりの準備必要数量を確認する議事録:見積書未提出/メール:数量未確定
納期の相談希望納期を聞き、対応可能な日程は社内で確認する直近のメール:納期の質問

これは期待する形式を示した例で、AIによる実行実績ではありません。
受け取ったら、参照元が実在するか、未確定の数量や納期を確定事項に変えていないか、必要な議題が抜けていないかを、人が確認します。

情報整理・確認事項の洗い出し・議題案作成をAIに任せ、情報の正確さ・メール送信・対外的な約束は人が確認する図

まずは、一つの仕事と確認箇所を決める

任せる前に、「使える情報」「進めてよい作業」「人が確認するタイミング」を決めておくと、具体的な話になります。

打ち合わせ準備なら、情報の整理と議題案の作成までを任せ、内容の正確さは人が確認する。
取引先へのメール送信や、金額・納期の約束は、確認を受けてから進める。
そうした線引きです。

AIが作った内容にも、抜けや取り違えはあり得ます。
元の資料へ戻って確かめられる形にしておくことも、仕事を任せるうえで大切です。

また、毎回その場で頼む使い方だけでなく、事前に設定した予定や条件をきっかけに動かす仕組みも考えられます。
その場合も、目的と権限、どこで止まって確認するかは、人が決めておきます。

私なら、まず「毎回少し面倒だけれど、やることと確認箇所がはっきりしている仕事」を一つ思い浮かべます。
打ち合わせ前の情報整理でも、議事録からの宿題の抜き出しでもよさそうです。

「AIエージェントを導入する」と構えるより、「この仕事を手伝ってくれる秘書がいたら」と考えると、最初の依頼が見えてくる気がします。

あなたの会社なら、まず何を任せたいですか?

AIスーパー秘書についてよくある質問

Q. メール連携がなくても、試せますか?

はい。
会社の利用ルールに合う資料を自分で渡し、整理や議題案の作成を試す方法があります。
ただし、その試し方だけでメールの自動検索や送信までできるわけではありません。

Q. どのAIサービスでも、同じ依頼文で同じ仕事ができますか?

できる作業は、サービスの機能、連携先、権限設定によって変わります。
この例の出力が得られるとは限りません。
導入前に、必要な資料を扱えるか、どこで人の確認を挟めるかを確かめてください。

一つの仕事から、任せ方を考える

「何を任せるか」を整理したら、次は自社の仕事でどう始めるかです。
導入の順序は、中小企業のAI活用5段階とレベル2の始め方で整理しています。

資料と操作権限の線引きは、AIに仕事を丸投げする前に知っておきたい3つの線引きも参考にしてください。
出力の確かめ方は、ハルシネーションを知り、仕事に活かす方法で解説しています。

参考資料

[1] Anthropic「Building effective agents」(2024年12月19日公開、2026年11月6日確認)
https://www.anthropic.com/research/building-effective-agents

次の一歩は、この3つから。

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この記事を書いた人

白石貴義
白石貴義合同会社GSK 代表
合同会社GSK代表。中小企業のためのAI業務設計パートナーとして、「ゼロを、1にする。」をコンセプトに、社内でAIが使われていない状態から、現場で使われる状態に変える支援をしています。ビジョンは「AIで仕事の抜け道を発見」。業務のヒアリングから設計、現場への定着まで、一緒に手を動かしながら伴走します。

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